おいでよシナリオの森!

夢はヒーローもののライターです☆

課題「男と女」現在地:三角形の一辺

 人 物

高階まゆり(18)高校生
水上雄次(18)野球部
佐藤愛(18)まゆりの親友
顧問(38)野球部顧問
男子(18)男子生徒
〇浅川高校・3年2組教室
   休み時間の教室。
   生徒たちが思い思いに過ごしている。
   高階まゆり(18)と佐藤愛(18)が自席
   で談笑している。
   教室の一角、男子生徒たちの大声で
   盛り上がる声が聞こえる。
愛「うるさ…これだから男子は」
   水上雄次(18)が友人たちと紙をまる
   めたボールで野球して遊んでいる。
   まゆり、チラリと見る。
   水上の満面の笑み。
   まゆり、見つめている。
愛「まゆり。まゆり?聞いてる?」
まゆり「えっあ、ごめんなんだっけ」
愛「もう、ボーっとしてんなよ。眠い?」
まゆり「あはは、まあね」
   紙ボールがまゆりの席に飛んでくる。
水上「おー、ホームラン」
   水上がまゆりの席まで取りに来る。
   紙ボールを拾い上げて笑顔。
水上「悪いね」
まゆり「ちょっと、気を付けてよ危ないで
 しょ」
水上「そんな怒るなよ、悪かったって」
   水上、まゆりの頭を撫でる。
   まゆり、硬直する。
水上「おーし、続きいくぞ、俺バッターな」
   水上、紙ボールを手に友人たちの元
   へ戻っていく。
   まゆりと愛、見送る。
愛「なに、あの軽い態度!バカにしてんの
 かな。ねぇ?まゆり」
   まゆり、撫でられた箇所に触れてボ
   ーっとしている。
愛「まゆり?」
まゆり「えっ、あ、そうだね」
愛「なに、あんたまさか」
まゆり「や、やだな!違うよ」
愛「ふーん…?」
   チャイムが鳴る。
   まゆり、鞄から教科書やノートを取
   り出す。
まゆり「ほら、予鈴だよ!さー授業授業。
 学生の本文は勉強だからね」
   愛、ニヤリと笑いながら席を離れる。
   男子たち、席に戻っていく。
   水上、紙ボールを広げる。
水上「おいコレ俺の課題プリントじゃねえ
 か!」
男子「どうせ提出しないからいいだろ」
水上「するわ!あーシワシワだぞおい」
   男子たち、爆笑。
   水上、席について丁寧にプリントを
   伸ばす。
   まゆり、水上を見て微笑む。

〇同・全景
   チャイムが鳴る。
   校舎の時計は3時30分を指してい
   る。

〇同・グラウンド
   野球部が練習している。
   野球部顧問(38)がバットを構えボー
   ルを持っている。
   水上が構えている。
顧問「じゃあ行くぞ水上!」
水上「お願いします!」
   顧問がノックを始める。
   必死でボールを獲る水上。
顧問「遅いぞ!」
水上「はい!」
   真剣な表情でボールを追う水上。

〇同・3年2組教室
   教室にバットの音や部員たちの掛け
   声が響いている。
   まゆりが窓から外を眺めている。
   窓の奥、水上がノックを受ける姿が
   見える。
   愛が入ってくる。
愛「お待たせーまゆり。帰ろう…」
   まゆり、窓の外を見ている。
   愛、まゆりに近付く。
   まゆりが見ている方を見て納得。
愛「お邪魔かな?」
   まゆり、愛に気付く。
まゆり「あ、愛!何言って…」
愛「あっ」
   まゆり、愛の声で窓の外を見る。
   窓の外、水上が泥だらけで転がって
   いる。
愛「頑張ってるねぇ」
   まゆり、窓に張り付く。

〇同・グラウンド
   水上、起き上がる。
顧問の声「おらーさっさとボール戻せ!」
水上「はい!」
   水上、ボールを投げ、走って戻る。
顧問「休むなよ行くぞ!」
   顧問、再びノックする。
   必死でついていく水上。
   顧問がノックする。
顧問「あっ」
   顧問が打ったボールがあらぬ方向へ
   飛んでいく。
   水上、慌てて追いかける。

〇同・グラウンド脇・噴水
   水上、ボールを獲ろうと手を伸ばし
   てバランスを崩す。
水上「うわっ」
   ボールと共に噴水に頭から飛び込む。

〇同・3年2組教室
   まゆり、窓にへばりついて見ている。
まゆり「あっ落ちた!」
顧問の声「大丈夫か水上ー!」

〇同・グラウンド脇・噴水
   水上、噴水の中立ち上がり顧問へボ
   ールを振って見せる。
顧問の声「もういいから、着替えてこい!」
水上「はい!」
   水上、噴水から出る。

〇同・3年2組教室
   まゆり、窓からずっと見ている。
まゆり「あんなにびしょびしょになっちゃ
 って…」
   愛、机に座ってまゆりを見ている。
愛「行ってきなよ」
まゆり「えっ」
愛「野球部って今マネージャーいないでし
 ょ、あいつ困ってんじゃないの」
   まゆり、迷っている。
愛「チャンスを棒に振る気?」
まゆり「…わかった」
   まゆり、サブバッグを抱えて教室を
   飛び出す。
   愛、笑顔で手を振る。
   ドアが閉まり、愛が真顔になる。

〇同・野球部部室前
   びしょ濡れの水上が走ってくる。
   男子生徒が通る。
男子「水上どうしたービチョビチョじゃん」
水上「ちょっとドジ踏んだ」
男子「あはは、どんまい」
   男子生徒が去っていく。
   すれ違ってまゆりが来る。
まゆり「み、水上」
水上「ん?あれ、高階。なんでまだいるん
 だ?」
   まゆり、サブバッグを抱える。
まゆり「あ、あんたが噴水にダイブするの
 見えたからびしょ濡れっぷりを見に来て
 やったのよ」
水上「あちゃ、見られてたか、はっず」
まゆり「ホントださいんだから。あれくら
 いスパっと獲りなさいよね、普段教室で
 もあれだけ野球やってんだから」
水上「なんだよ、心配してきてくれたんじ
 ゃないの?」
まゆり「誰が心配すんのよ、調子乗らない
 で!」
   まゆり、タオルを水上に投げつける。
   水上の顔にタオルが当たる。
   水上、タオルを見て驚きまゆりを見
   る。
水上「おい…」
   まゆりが走り去っていく。
   水上、タオルを見つめる。
   タオルの隙間から絆創膏が落ちる。
   水上、拾い上げる。
   絆創膏の外袋に「ふぁいと」と書い
   てある。
   水上、自分の頬に触れる。
水上「痛っ」
   擦り傷ができている。
水上「あいつ、気付いて…」
   水上、絆創膏を頬に貼る。
   外袋を、すこし考えてポケットに押
   し込むとタオルで頭を拭きながら部
   室のドアを開ける。

〇同・3年2組教室
   愛、机に座ったまま真顔で黒板を見
   つめている。
   走ってくる足音が聞こえる。
   ドアが開いて笑顔のまゆりが入って
   くる。
まゆり「ただいま!無事渡せたよ私!愛が
 行けって言ってくれたおかげ!」
愛「…そう。よかったね」
まゆり「ありがとね、私、自分だけじゃ絶
 対動けなかったから」
愛「あんたは素直じゃないもんね」

 

※ストレートに青春的な恋愛を描いてみました。

 ちゃんと先生に、愛が好きなのはどっち?って思ってもらえてニヤリ(笑)

 台詞はないけど気付いてもらえたのなら、

 描き方としては悪くなかったということかしら!

 イメージとしては雄次←まゆり←愛のつもりだったので!

 親友の恋路を応援したいような、そうでもないような複雑な思春期の感情…

 伝わるといいなぁ!