おいでよシナリオの森!

夢はヒーローもののライターです☆

課題「親子」マスカレイド

    人 物

 

峰岸春子(40)専業主婦

峰岸信(14)春子の息子

小田竜也(14)信のクラスメート

峰岸幸村(43)春子の夫

男子生徒A(14)

男子生徒B(14)

クラスメイト

 

 

〇峰岸家・全景

   表札に「峰岸」の文字。

   制服姿の峰岸信(14)が帰ってくる。

 

〇同・リビング

   峰岸春子(40)がソファで編み物をしている。

   部屋の至る所に笑顔の家族写真が飾ってある。

   信の名前の表彰状やトロフィーもいくつも飾ってある。

   玄関からドアが開く音がして顔を上げる。

   春子、編み物を片付けて立ち上がる。

   信が入ってくる。

信「ただいま」

春子「おかえりなさい」

信「お腹空いたー、何かない?」

   信、鞄を春子に渡してソファに座る。

   制服の上着を放ってテレビを点ける。

   春子、上着を拾う。

春子「待っててね、今日はドーナツを揚げたの」

信「やったぁ、砂糖たっぷりかけてね」

春子「はいはい」

   春子、鞄と上着を持ってリビングから出ていく。

   信、ゲームを取り出して遊び始める。

   春子、ドーナツを皿に乗せて持ってくる。

春子「おまたせ」

信「ありがと」

   信、ゲームに夢中。

   春子、ドーナツをテーブルに置くと信の隣に座って編み物を再開する。

春子「ねえ信ちゃん、学校はどう?新しい授業にももう慣れた?」

信「まあね。ちょっと難しいけどなんとかやってる」

春子「お友達は?楽しく遊んでるかしら」

信「うん。友達はたくさんできたよ。よく遊んでる」

春子「そう…。こんな中途半端な時期に転校だなんて、ちゃんとなじめるか心配だった

 けど。さすが信ちゃんね、すごいわ」

   春子、信の頭を撫でる。

   信、眉をひそめて頭を退ける。

信「やめてよ、髪がボサボサになる」

春子「あらごめんなさい」

信「ママ、このドーナツ美味しいよ」

春子「ありがとう。いっぱいあるからどんどん食べてね」

   信、ゲームしながらドーナツを頬張る。

   春子、笑顔で信を見ながら編み物を続ける。

 

〇同・ダイニング(夜)

   テーブルに夕食が並んでいる。真ん中にすき焼き鍋。

   春子、信、峰岸幸村(43)が席について手を合わせる。

三人「いただきまーす」

   信、立ち上がってお玉を手に取る。

信「パパ、僕入れるよ」

峰岸「お、悪いな信」

   峰岸、皿を信に渡す。

春子「やだ信ちゃん、それはママの仕事なのに」

信「いいの。ママは座ってゆっくり食べて」

   信、峰岸の分をよそうと次に春子の分をよそい始める。

信「あ、そういえば今日テスト返ってきたんだった。取ってくる」

   信、皿を春子に渡すと部屋を出ていく。

   × × ×

   信、テストを持って戻ってくる。

   峰岸にテストを渡す。

信「はい」

峰岸「ああ…すごいな、数学90点か!」

春子「見せて見せて。すごいわね、信ちゃん!」

信「やだな、これくらい普通だよ。ちゃんと授業聴いてたら取れるし。それより、凡ミ

 スで点数引かれちゃったのがショックで」

峰岸「いやいや、人間誰でもミスするものだからな、これくらいは仕方ないさ。これだ

 けの点数取れることがすごいぞ」

春子「そうよそうよ。ママ鼻が高いわ」

信「もう、二人ともこどもに甘すぎ」

   信、照れ臭そうに笑う。

   春子と峰岸、信を見て微笑む。   
   信、すき焼きを頬張っている。

 

〇松井第一中学校・全景

   チャイムが鳴る。

 

〇同・2年1組(信のクラス)・前

   札に「2年1組」と書かれている。

   中から生徒たちの声が聞こえる。

 

〇同・2年1組内

   生徒たちが賑やかに話している。

   教室の一角、一つの席に男子生徒が集まっている。

   信と男子生徒2人が顔を寄せ合って楽しそうに書いている。

   小田竜也(14)が席に座って俯いている。

信「やっぱり髭は男のロマンだよな」

男子生徒A「お~カッコイイ!男らしいな」

信「だろ?」

   信、マジックで歴史の資料集に大きく似顔絵を書いている。

   似顔絵の下に「おだたつや 35歳」と書く。

信「ほーら小田、お前の未来の姿!めっちゃイケてんだろ!」

男子生徒B「すげー髭!豊臣秀吉もびっくり」

男子生徒A「チョーイケメン!」

   竜也、チラッと見てすぐにうつむく。

   信、資料集を竜也の顔に押し付ける。

信「おら、よく見ろよ小田ぁ!」

   竜也、押さえつけられるまま。

   信、資料集を放り投げるとマジックを手に取る。

信「そうだ、今からこれと同じ顔にしてやるよ。イケメンになるぞ?」

男子生徒A「いいねいいね、モテちゃうかもな」

   男子生徒AとB、竜也を羽交い絞めにする。

竜也「や、やだやめて」

信「ちゃんと顔上げとけよ」

男子生徒A・B「はーい」

   男子生徒AとB、嫌がる竜也の顔を無理やり上げさせる。

   信、マジックを持って乗り出し竜也の顔に近付く。

信「動いたら余計変な顔になるぞ」

   マジックが竜也の顔に近づく。

   竜也、怯えた目で見ている。

   他のクラスメイトたち、チラリと様子を見ながら何もしない。

クラスメイト「またやってる」

クラスメイト「毎日毎日飽きないよね」

クラスメイト「バカ、見てるのばれたらこっちがやられるぞ」

   竜也、クラスメイトを横目で見て目を伏せる。

   教室のドアが開いて担任が入ってくる。

担任「授業始めるぞー」

   信たち、サッと席に戻っていく。

   竜也、うつむいて資料集を机に仕舞う。

 

〇峰岸家・リビング(夕)

   ソファに寝転がってゲームしている信。

   春子、キッチンで揚げ物をしている。

   電話が鳴る。

信「ママー、電話鳴ってる」

春子「はいはい」

   春子、駆け足で電話を取る。

春子「はい峰岸でございます」

   信、ゲームに夢中。

春子「はい、はい…ええ?それはどういう…」

   春子、眉をひそめ信を振り返る。

   信、春子を見上げる。

春子「はい…わかりました、すぐ伺いますので、場所を…」

   春子、目を逸らしメモを取り始める。

   信、またゲームに戻る。

   春子、電話をきる。

春子「…信ちゃん」

信「なに?」

春子「小田くんて知ってる?」

信「うん、同じクラスの子」

春子「仲は良いの?」

信「えー?普通だと思う。グループ違うし、時々話す程度だと思うけど。小田くんがど

 うしたの?」

   春子、信を振り返る。

   青ざめている。

   信、春子を見て不思議そうな顔。

信「ママ?」

春子「小田くんがね、電車に飛び込もうとしたんですって」

信「え?大丈夫だったの」

春子「幸い周りの人が止めてくれて助かったそうだけど」

信「そっか」

春子「持っていた遺書に、いじめられて辛いから死ぬって」

   信、起き上がる。

春子「信ちゃん。あなたに、いじめられてたって」

   信、無表情に春子を見ている。

春子「嘘よね?そんなの」

   信、無言で春子を見つめている。

春子「信ちゃん」

   信、笑顔になる。

信「嘘だよ。僕がそんなことするわけないじゃん」

   春子、ぎこちなく笑顔を返す。

春子「そう、そうよね。そんなこと、信ちゃんがするわけないわよね」

信「うん。僕を信じてよママ」

春子「そうね、ごめんなさい。じゃあママ先生に呼ばれてるからちょっと行ってくるわ

 ね」

   春子、部屋を出ていく。

   信、ゲームを放り投げると後を追う。

信「ママ、待って。僕も行く」

 

※ドラマが始まるパートが遅すぎる、との

ご指摘でした。

そう…これが私の悪いクセだな…。

家と学校の落差を出したかったのだけど、冗長すぎたな。