おいでよシナリオの森!

夢はヒーローもののライターです☆

課題「刑事」わっぱ!

    人 物

松本清次(5)、(25)新人刑事

二葉明(28)松本の先輩

織田道長(40)強盗犯

松本幸一(36)清次の父親

時尾涼香(27)松本の同僚

安住良子(42)一般住民

辻野里香(30)コンビニオーナーの妻
松本清

交番勤務から捜査一課に配属になったばかりの新人刑事。

既に他界した父親も捜査一課の刑事。彼から学んだことを胸に抱き日々を過ごす正義の塊の熱血漢で、非常に縦社会に厳しく礼儀を忘れないザ・体育会系。

交番勤務時代に近所のコンビニで悪漢を倒した縁でコンビニオーナーの辻野里香と親しくなるが彼女が既婚者のため告白できず切ない思いを抱えている。

母とその兄と三人で暮らしているが、ゲイで自由人の伯父とは非常に良好な関係。なんでも話せると思っている。

父親が強盗犯に刺され殉職してしまう現場を目撃しており、内心ではその犯人に今でも深い憎悪を抱き、敵を取ることが目標。

しかしその目的の前には我を忘れてしまう危うさがある。

 

 

〇児童公園入口・20年前(夜)

   パトカーや救急車がサイレンを鳴らして

   急行してくる。

 

〇同・トイレの前(夜)

   松本清次(5)が足を投げ出し座っている。

   茫然と正面を見つめている。

   織田道長(20)が走り去っていく。うなじ

   には大きな痣。

   清次の前、うつぶせで松本幸一(36)が倒

   れている。

   周りには黒い財布と散らばった小銭、警

   察手帳。  

   幸一の背中の服は何か所も裂け、血で真

   っ赤に染まっている。

   背中の中心にナイフが刺さっている。

救急隊員の声「君!大丈夫かい」

   救急隊員が清次に駆け寄る。

   清次、応えずずっと幸一を見ている。

   他の救急隊員が幸一を担架で運んでいく。

   幸一の手が揺れている。

   警察が無線で連絡を取っている。

   清次、ジッと見つめている。

清次(M)「お父さん…!」

   清次、両手を強く握り締める。 

 

〇警視庁・捜査一課オフィス・現代

   松本清次(25)、大きな体を丸めて机に突

   っ伏して寝ている。

   その拳は強く握られている。

二葉の声「おい。起きろ新人」

   二葉明(28)の細い腕が松本の肩を揺らす。

   一向に起きない松本。

松本「うぅ…(うなされている)」

   二葉、呆れた様子で松本を見ている。

   時尾涼香(27)、二葉の横から覗き込む。

   二葉、手に持っている捜査資料のファイ

   ルを縦に振り上げる。

   涼香、慌てて止める。

   二葉、不満げにファイルを横に持ち替え

   る。

   涼香、首を横に振る。

涼香「それもノーです」

   二葉、大きくため息を吐く。

   松本の耳元に顔を近づける。

二葉「松本くん、お・き・て」

   二葉、松本の耳に息を吹きかける。

   松本、目を見開きものすごい勢いで起き

   上がる。

松本「え?え?」

   真っ赤な顔で後ろを見る松本。

   二葉と涼香が立っている。

松本「え、今の、耳…。時尾先輩が?」

二葉「ざんねーん、俺様の吐息でした、このド

 アホ」

松本「えー!」

   松本、必死で耳を拭う。

二葉「新人のくせに堂々と居眠りとはいい度胸

 だな?」

   松本、一瞬の間の後、慌てて立ち上がり

   頭を深く下げる。

松本「し、失礼しました!」

二葉「わかればいいんだ。付き合え、新人」

松本「はい!」

   二葉、松本の後頭部を軽く叩いて歩き出

   す。 

松本「待ってくださいよ二葉先輩っ」

   松本、慌てて後を追う。

   涼香、見送りつつ笑う。

涼香「飼い主と大型犬みたい」

 

〇住宅街・赤い屋根の家・玄関

   二葉、住人の安住良子(42)に頭を下げる。

二葉「どうも、ご協力ありがとうございました」

良子「ご苦労様です」

   松本、勢いよく頭を下げる。

松本「ありがとうございましたっ!」

   大声に驚く二葉と良子。

   二葉、慌てて松本の首根っこを掴む。

二葉「こら!ど、どうも失礼しました」

   二葉、爽やかな笑顔を見せつつ松本を強

   引に連れて出ていく。

 

〇同・道路

   二葉、強引に松本を連れて歩き出す。

松本「痛い、痛いですよ先輩っ」

二葉「お前なぁ、恥ずかしくないのか」

松本「何がですか。捜査にご協力いただいたか

 ら心からの感謝をお伝えしただけですが?」

二葉「感謝するのは構わん。だが時と場所を考

 えろ。こんな住宅地で、お前の野太いデカい

 声が響いたら近隣住民の方がビックリするだ

 ろうが」

松本「あっ」

二葉「礼儀正しいのもいいがな、もっと周囲に

 気を…」

   松本、深々と頭を下げる。

松本「申し訳ございませんでしたっ!」

   二葉、慌てて松本の頭をげんこつで殴る。

二葉「だからそれをやめろって!」

   松本、ハッと気づいて照れ笑い。

   二葉、呆れながら先を歩く。

二葉「はぁ。お前みたいなタイプ疲れるわ。さ

 っさとコンビ解消したいぜ」

   松本、笑顔で二葉を追う。

松本「そんなこと言って。いつも丁寧に指導し

 てくださるじゃないですか。自分のこと、結

 構好きじゃないですか?」

二葉「あほ。さっさと一人前になってくれりゃ

 離れられるからだよ。俺のためだ、俺の」

   松本、悲しい顔で立ち止まる。

松本「そんな、先輩…」

   二葉、振り返る。

   松本、悲しそうに俯き立ち尽くしている。

二葉「行くぞ。聞き込みついでにコーヒー買っ

 てやるから」

   松本、笑顔で顔を上げる。

松本「はい!」

   二葉の隣に駆け寄る松本。

   二葉、苦笑しつつ歩き出す。

松本「先輩、自分お勧めのコンビニあるんです

 けど」

二葉「お勧め?」

 

〇コンビニ

   辻野里香(30)がレジ業務を行っている。

   雑誌を立ち読みしている青年。

   スイーツコーナーで談笑する高校生カッ

   プル。

   ドリンクコーナーに立つ織田道長(40)

 

〇同・店外

   二葉と松本が歩いてくる。

二葉「ここか?」

松本「はい」

二葉「聞き込みできりゃなんでもいいが…どこ

 にでもあるようなコンビニじゃないのか?」

松本「自分、交番勤務時代からの行きつけです」

   松本、笑顔で入っていく。

 

〇同・店内

   松本、二葉が入ってくる。

   レジにいた里香、松本を見て笑顔。

里香「あら、松本くん!久しぶりじゃない」

松本「ご無沙汰してます」

里香「(バックヤードに)ごめん、レジお願い。

 (松本に)最近来てくれないから寂しかった

 よ?」

松本「いやぁ…」

   松本、恥ずかしそうに頭を掻く。

   二葉、何かに気付いてニヤリ。

二葉「そういうことか」

松本「そ、そういうんじゃないです!この店の

 コーヒーは他のコンビニよりも美味しくて、

 それで」

二葉「はいはいそういうことにしとくよ」

松本「せ、先輩」

里香「それで今日は何買いに来たの?お昼ご飯

 には早いわよね」

松本「あ、いや今日は仕事で来たんです。自分

 今は捜査一課に配属されてまして」

里香「えっじゃあ刑事さんなの?お巡りさんじ

 ゃなくて?あらぁすごいじゃない!」

   織田、里香の大きな声に動揺し振り返る。

里香「そういえばよく刑事になりたいって話し

 てたものね?おめでとう!」

松本「ありがとうございます」

二葉「すみません、それでちょっとお聞きした

 いことがありまして」

里香「あ、はい。どうぞ」

   二葉、胸から警察手帳を取り出し開く。

   織田、ドリンクの扉を閉じて帽子を深く

   被り早足で店内出口へ向かう。

   織田、松本と二葉の後ろをすり抜けよう

   とする。

松本「あ、すみません」

   松本、織田に気付き横にずれる。

   織田、会釈しつつ出ていこうとする。

   松本、織田を目で追う。

   織田のうなじに大きな痣がある。

   松本、目を見開く。

   織田、店を出ていく。

松本「てめえっ」

   松本、織田を追う。

二葉「お、おい!?」

 

〇同・店外

   織田、走って出てくる。

   松本、鬼の形相で出てくる。

松本「おい待ちやがれ!」

   織田、驚いて逃げ出す。

   松本、思い切りタックルして織田ごと倒

   れこむ。

織田「ひいいっ!」

   松本、織田の首を抑え込む。

松本「お前…とうとう見つけた、見つけたぞ!」

   織田、苦し気に暴れる。

   二葉と里香、出てくる。

二葉「おい、松本!お前何してるんだ!」

   二葉、松本の肩を掴む。