おいでよシナリオの森!

夢はヒーローもののライターです☆

課題「嫁と姑」二人はバチバチ

    人 物

 

内浦絵里子(31)主婦

内浦奈保美(55)絵里子の姑・隆一の母

内浦隆一(32)絵里子の夫

 

〇内浦家・全景(朝)

 

〇同・ダイニング(朝)

   内浦絵里子(31)と内浦隆一(32)が朝ごは

   んを食べている。

   テーブルの上には洋風の朝食(トースト・

   コーンスープ・スクランブルエッグ・ソ

   ーセージ)が並んでいる。

   テレビで占いが始まる。

内浦「うわ、行かなきゃ」

   内浦、テレビを見て慌ててトーストとコ

   ーヒーを口に流し込む。

絵里子「あれ、今日早い日だったの?」

内浦「うん、朝イチで会議あったの忘れてた。

 ごめん、ちょっと残しちゃうけど」

絵里子「いいよ。それより遅刻しちゃ大変」

   絵里子、キッチンから弁当の包みを持っ

   てくる。

 

〇同・ダイニング前の廊下(朝)

   寝間着姿の内浦奈保美(55)が歩いてくる。

   ダイニングから声が聞こえてくる。

内浦の声「ありがとう。いつもこれが楽しみ」

絵里子の声「嬉しい」

   奈保美、しかめっ面でドアを開ける。

 

〇同・ダイニング(朝)

   内浦、慌てて背広を着て鞄を手に取る。

   絵里子、内浦のネクタイを直してやる。

   奈保美、しかめっ面で入口に立っている。

絵里子「あ、お義母さんおはようございます」

内浦「母さんおはよう!」

   奈保美、内浦に笑顔を向けて

奈保美「おはよう、隆一」

内浦「今日はもう行かなきゃいけないんだ。行

 ってくるね」

奈保美「毎日忙しいね、いってらっしゃい」

内浦「いってきます」

   内浦、笑顔で部屋を出ていく。

   絵里子、内浦の後をついていく。

絵里子「まって隆一さん、肩にホコリが」

   残った奈保美、テーブルの上を眺めてた

   め息。

   空いている椅子に座る。

   絵里子が戻ってくる。

絵里子「お義母さん、朝ごはん用意しますね」

   絵里子、キッチンからトレイに載ったト

   ーストやスクランブルエッグを運んでく

   る。

   奈保美の前に出してすぐにキッチンに戻

   る。

絵里子「何飲まれますか?牛乳かコーヒーか…」

   奈保美、わざとらしく大きなため息をつ

   いて立ち上がる。

   絵里子、振り返る。

   奈保美、スクランブルエッグやソーセー

   ジが載った皿を持ってゴミ箱の前に立つ。

奈保美「ウチの嫁は、何度言ったら学習するの

 かねぇ。ウチの朝はご飯と決まってるんだよ」

   奈保美、ゴミ箱におかずを全て捨てる。

   絵里子、黙って奈保美を見ている。

奈保美「ほら見て、隆一だって残してるじゃな

 いの。似合いもしないもの作るから残される

 んだよ。気取ってないで身の丈に合った食事

 を作りなさい」

   奈保美、席に戻る。

   テーブルの上のポットからお茶を注いで

   飲む。

   絵里子、大げさなため息をつく。

奈保美「なによ」

絵里子「朝からこんなくっだらない嫁イビリな

 んかして、恥ずかしくないんですか?」

奈保美「なっ…」

   絵里子、ゴミ箱を覗き込み捨てられたお

   かずを拾い上げて皿に戻す。

絵里子「あーあ、こんなに食べ物無駄にして…

 セレブでもないくせにこんなもったいないこ

 としちゃダメでしょう。セレブもこんなもっ

 たいないことしないでしょうけど。口に合わ

 ないわ~なんて気取ったこと言ってないで、

 出された食事は黙って食べてください」

   絵里子、おかずの載った皿を奈保美の前

   に出す。

奈保美「こんな汚いものを食べろというの!」

絵里子「汚くしたのはお義母さんご自身でしょ。

 責任もって食べてください!ほらほら」

奈保美「ほんっと可愛くない嫁ね、あんたは!」

絵里子「別にいいですぅ、隆一さんに可愛がっ

 てもらってるから!」

奈保美「(金切り声)」

   突然ドアが開いて隆一が顔を出す。

隆一「ごめーん、俺携帯忘れてない?」

   ドアが開いた瞬間、パッと離れる絵里子

   と奈保美。

   隆一、テーブルの上に携帯を見つけて手

   に取る。

隆一「あったあった」

   携帯をポケットに入れつつ、奈保美の前

   の皿に気付く。

隆一「うわ、どうしたの母さんおかずぐっちゃ

 ぐちゃ」

奈保美「聞いておくれよ、ひどいんだよ絵里子

 さんが…」

絵里子「ちょっとお義母さんぶつかって零しち

 ゃって、今拾ったトコだったんだ」

隆一「そうなんだ。母さん、絵里子のスクラン

 ブルエッグ超美味いから。食べてね」

奈保美「そ、そうね…」

隆一「じゃあ今度こそ、いってきます」

絵里子・奈保美「いってらっしゃい」

   隆一が出ていく。

   ドアが閉まった瞬間、再び睨みあう絵里

   子と奈保美。

絵里子「ちょっとお義母さん、さっき何言いか

 けました?『ひどいんだよ絵里子さんが』っ

 て何?私が何か意地悪したみたいに言おうと

 しましたよね!な~に自分が被害者みたいな

 フリしようとしてんですか!」

奈保美「あんたが生ごみを食べさせようとした

 のは事実でしょ!」

絵里子「先に私が作った料理を食べもせず生ご

 みにしたのはそっちじゃないですか!」

   睨みあう絵里子と奈保美。

   奈保美、目を逸らして絵里子から離れる。

奈保美「わかった、今は私の負け。朝から突っ

 かかって悪かったよ」

絵里子「わかっていただければいいんです」

   奈保美、皿のおかずをゴミ箱に捨てる。

奈保美「とにかく、悪いけどコレは食べられな

 いわ。とりあえず隆一の残りでもいただくよ」

絵里子「…わかりました」

   奈保美、隆一が残していた皿を引き寄せ

   て食べ始める。

   絵里子、奈保美に牛乳の入ったコップを

   持ってきて出す。

   席について朝ごはんの残りを食べ始める。

   静かに食べ続ける絵里子と奈保美。

奈保美「まったく、隆一もなんでこんな子選ん

 だのか」

絵里子「私から言わせれば、なんでこんな母親

 から隆一さんみたいな素敵な人が生まれたの

 かが謎です」

奈保美「本当にあんたはああ言えばこう言う」

絵里子「性分なんです。売られたケンカは大人

 買いしますよ」

奈保美「おお怖い」

絵里子「お義母さんもでしょう?」

奈保美「何が」

絵里子「お義母さんもケンカ買って返り討ちに

 するタイプじゃないですか?わかりますよ」

   絵里子、奈保美をジッと見る。

   奈保美、居心地悪そうにポットからお茶

   を注ぐ。

奈保美「何言ってるんだか。私はあんたみたい

 に野蛮じゃないよ」

絵里子「そうですかぁ?でもなんか私、お義母

 さんの顔見たことあるんですよね、若い頃の」

奈保美「隆一に見せてもらったんじゃないのか

 い」

絵里子「それよりもっと若いやつですよ。かな

 り明るい茶髪で濃いメイクしてすごい丈が長

 いセーラー服着てる…」

   奈保美、焦って立ち上がる。

   絵里子、ニヤニヤ。

奈保美「ちょっと!そんな写真どこで見たの!」

絵里子「なんか、伝説のヤンキーとかいうのが

 いたそうですね当時。その人の名前も確か…」

奈保美「絵里子さんっ!あなたもお茶どう?」

   奈保美、お茶を注ごうとして湯飲みをひ

   っくり返す。

   慌ててテーブルを拭く。

   絵里子、手伝う。

   絵里子、ニヤニヤ笑っている。

   奈保美、絵里子を睨みつける。

奈保美「あんたも同類だね」

絵里子「ど、同類ってなんですか」

奈保美「昔のことを知ってるのは昔の仲間だけ

 なんだよ。それなのにあんたが知ってるって

 ことは、あんたと私の昔の仲間が知り合いっ

 てことでしょう。つまり!あんたもヤンキー

 ってことだね!」

絵里子「(小声で)しまった」

奈保美「普段隆一の前ではあんなに優しい女気

 取ってるくせに…汚い女!」

絵里子「な、なによそれはあんたもでしょ!隆 

 一さんに話しかけるときの甘ったるーいしゃ

 べり方、何?歳考えなさいよ!」

奈保美「年功序列がわかってないようだね小

 娘!」

   ドアが勢いよく開き内浦が入ってくる。

内浦「いやぁ、今日僕遅番だったの忘れてた~

 会議も明日だったよ…」

   睨みあった姿勢のまま硬直している絵里

   子と奈保美。

   二人を見て不思議そうな隆一。

内浦「どうしたの二人とも?」

奈保美「な、なんでもないよ隆一」

絵里子「おかえりなさい…」

   ぎこちない笑顔の絵里子と奈保美。

内浦「ただいま!」

 

※タイトルはニチアサのアレをもじってます(笑)