おいでよシナリオの森!

夢はヒーローもののライターです☆

課題「1年間」待ってて

人物

 今井時子(26)OL

 神崎護(14)中学生

 安土美奈子(35)時子の上司

 女子 中学生

 通勤客

 

 

〇バス停「藪中」

   「藪中」と書かれたバスの案内板を先頭に、通勤・通学客が二、三列の列を為し

   て待っている。

   同じ学校の制服を着た男女が並ぶ傍で、大きめの制服姿、160cm程の身長の神 

   崎護(14)は列から離れたところの壁に背を預けてスマホをいじっている。

   「東部学園域行」と書かれたバスが入ってきて神崎と同じ制服の生徒が乗り込ん

   でいく。

   最後尾の女子が乗り込もうとして神崎を振り返る。

女子「君、乗らないの」

   スマホを見ていた神崎、バスがやって来た方向をチラリと見て、またすぐにいス

   マホに視線を落とし、女子に向かってバイバイと手を振る。

   女子、少し肩をすくめてからバスに乗り込む。

   バスが発車する。

   神崎、スマホをいじりながら時々道をチラリと見ている。

   二度繰り返したところで、顔を上げた途端に満面の笑みになる神崎。

   遠くから今井時子(26)が歩いてくる。

神崎「おはようございま~す!」

   神崎、大声で叫びながら時子に駆け寄る。

時子「あ、おはよう…」

神崎「お鞄、お持ちしますね!重いでしょ」

時子「え、ちょっと!」

   神崎、時子から通勤鞄を奪うとバス停に向かって駆けていく。

   神崎、列に並ぶと振り返り手を振る。

   他の通勤客が後ろへ並ぶ。

   時子が走り寄ってくる。

神崎「ここどうぞ!」

   神崎、列を退いて手招き。

時子「あ、ありがとう…」

   時子、周囲に会釈しながら列に入る。

   神崎、ニコニコと時子を見ている。

時子「えっと…」

神崎「護です、神崎護!気軽に護と呼んでください!」

時子「護くん、鞄…ありがとう。返して?」

   時子が手を伸ばす。

   神崎、笑顔のまま鞄を抱きしめる。

神崎「いいえ!こんな重いもの、貴女に持たせられません。バスが来るまで僕がお持ち

 します!」

   列に並ぶ通勤客たちが少し笑っている。

   時子、恥ずかしい。

時子「持ってもらわなくて結構です!これでも鍛えてるんだから」

   鞄を取り返す時子。

神崎「そうですかぁ…」

   肩を落とす神崎。

   そのままなかなか動かない神崎。

   「東部学園行」のバスが入ってくる。

   学生が並んでいる列の傍に停車する。

時子「君のバス、来たよ」

神崎「時子さんのバス、来ませんね」

時子「ちょっと遅れてるんでしょうね。ほら、行きなさい」

神崎「いえ、時子さんを見送ってから行きます」

時子「何言ってるの、遅刻するでしょ。まだ一年生なんでしょう?」

神崎「平気です。時子さんとの時間の方が大事ですから!」

時子「ば…バカなことを言わないの!バス行っちゃうよ!早く行きなさい!!」

   強い口調の時子。

神崎「…じゃあ、明日もお話してくれます?」

時子「するする、ほら早く」

神崎「約束ですよ!」

   神崎「東部学園行」のバスへ駆けていく。

   乗り口から大きく手を振る神崎。

   時子、視線を気にしつつ振り返す。

   神崎が乗り込みバスが出る。

   時子、深いため息。

通勤客「姉ちゃん、おつかれ」

   後ろの通勤客に会釈してうつむく時子。

 

〇バス停「藪中」(朝)

   傘を差して通勤・通学客が並んでいる。 

   神崎、傘を差して列から離れ時子を待っている。

   遠くに時子を見つけて駆け出す。

神崎「おはようございます!」

   時子、鞄を後ろ手に隠して、

時子「おはよう」

神崎「お鞄…」

時子「持ってくれなくていいから!」

   足早にいつもの列へと歩いていく時子。

   神崎、ついていく。

神崎「傘差して鞄持つの大変でしょう、僕が」

時子「いらないってば。ありがた迷惑だよ」

   神崎、悲しそうに時子を見上げる。

神崎「迷惑ですか」

時子「好いてくれてるみたいなのは有難いけど、こういうのは困るわ。昨日だってすご

 く恥ずかしかったし」

   神崎、うつむく。

神崎「僕…時子さんに喜んでほしくて」

時子「悪いけど、喜べなかったわ」

   時子、神崎の頭をポンポンと叩く。

時子「好意の押し付けはNGよ、ぼうや」

   神崎、乱暴に時子の手を振り払うと、そのまま「東部学園行」の列へと走ってい

   く。

   時子、小さく息を吐くと列に戻る。

   神崎はうつむいたまま。

 

〇新井商事・オフィス

   PCに向かって仕事に打ち込んでいる時子。

   ふと顔を上げ、窓の外に目をやる。

   雨が降っていて薄暗い。

   ボンヤリと見ている時子。

時子「言い方、きつかったかなぁ…」

美奈子の声「なにが?」

   時子、驚いて振り返る。

   書類の束を持った安土美奈子(35)が机の横に立っている。

時子「な、なんでもないです」

   時子、慌てて仕事に戻る。

   美奈子、書類の束を机に置く。

美奈子「パフォーマンスが落ちてるぞ今井」

   美奈子、時子を覗き込む。

美奈子「悩みごと?男か」

時子「そんなのじゃありません。すみません、ペース上げますね」

美奈子「ああ…」

   黙々と仕事をする時子を眺めている美奈子。

美奈子「ちゃんとこなしてくれれば文句はないが…背伸びして無理するなよ」

   美奈子、時子の頭をポンポンと叩いて離れていく。

   時子、頭に触れながら美奈子を見送る。

 

〇バス停「藪中」(朝)

   青空の下、通勤・通学客が並んでいる。

   時子が歩いてくる。

   列について、辺りを見回す。

   学生の列にも、列から離れた集団にも神崎の姿はない。

   時子の列にバスがやってきて、周囲を気にしながら乗り込む。

 

〇バスの中

   吊革につかまり、目の前の窓を見る時子。

時子(M)「明日は会えるかな」

   窓の奥の景色が動き出す。

   緑豊かな公園やビル群が流れていく。

   ぼんやりと眺める時子が窓に映っている。

 

〇バス停「藪中」(朝)

   夏服の学生たちがバスへ乗り込んでいく。神崎はいない。

   夏服の時子、そちらを気にしながらも自分のバスに乗り込む。

 

〇同(朝)

   雪が降る中、バスに乗り込んでいく学生たち。神崎はいない。

   コートを着込んだ時子、列から離れて学生たちの列を見ている。

 

〇同(朝)

   青空の下、桜が舞う中、学生たちが並んでいる。

   時子、列から離れてスマホをいじっている。

   「東部学園行」のバスが出ていったのを見て、大きく息を吐く。

時子「…バッカみたい」

   スマホをしまう。

 

〇バス停「薮下」(朝)

   傘を差した時子がやって来る。

   時刻表を見ようと見上げた途端、傘が後ろにいた人にぶつかる。

時子「あ、すみませ…」

   振り返る時子。声が止まる。

神崎「あ」

   驚いた顔で時子を見下ろしている神崎。

時子「…護くん、よね…?」

   真っ赤な顔でうなずく神崎。

神崎「時子さん、なんでこっちに?あ、鞄持ちます…って、それは迷惑でしたよね、え

 っと…」

   時子、神崎の頭に触れる。高くて、背伸びしてやっと。

   神崎、固まる。

神崎「と…時子…さん…?」

時子「背、すごい伸びたね。二年生になったんだっけ?」

神崎「は、はい成長期で…:

時子「随分高度なテク使ってくれたわね?」

神崎「へ?」

   時子、嬉しそうに微笑みを浮かべる。

 

※講師の方にいっぱい褒めていただきましたー!

 わーい、調子に乗るぞ(笑)

 色々な技術をもっと入れられるようになりたいです。