おいでよシナリオの森!

夢はヒーローもののライターです☆

課題「憎しみの一瞬」アディクション

    人 物

浜野鮎美(20)大学生

波岡礼子(20)大学生・鮎美の友人

本堂俊一(22)大学生・鮎美の彼氏

山口翔子(20)大学生・鮎美の友人

木戸智子(20)大学生・鮎美の友人

藤本里香(20)大学生・鮎美の友人

鮎美の母(52)

花屋の店主(43)

 

〇西京女子大学・全景

 

〇同・キャンパス

   白い建物。

   自然公園のような中庭。

   多くの女子大生が笑顔で過ごしている。

   清楚な白いワンピースにブランド物のト

   ートバッグを持った浜野鮎美(20)が歩い

   てくる。

   ベンチに座ってスマホをいじっている藤

   本里香(20)、鮎美に気付いて手を振る。

里香「鮎美おはよー」

鮎美「おはよ」

   鮎美、手を振りながら歩いてくる。

   鮎美の右手首に天然石のブレスレットが

   揺れている。

里香「素敵なブレスレットね」

鮎美「ありがと」

   鮎美、笑顔で校舎に入っていく。

 

〇同・カフェテリア

   学生が数組おしゃべりしている。

   波岡礼子(20)、山口翔子(20)、木戸智子

   (20)が談笑している。

   鮎美、カフェテリアに入ってくる。

   翔子が気付いて手を振る。

翔子「あ、鮎美!おはよ」

   鮎美、気付いて駆け寄る。

鮎美「おはよう」

   礼子、智子も口々に挨拶する。

礼子「(鮎美に)昨日お願いしてたのできた?」

鮎美「あ、うん」

   鮎美、トートバッグからUSBメモリを

   取り出し礼子に差し出す。

鮎美「どうぞ」

礼子「ありがと!」

智子「なあに、それ?」

礼子「ん?経済学のレポート。鮎美のレポート

 評判いいんだ」

翔子「それ教授に提出するの?」

礼子「うん」

   礼子、メモリを鞄に仕舞う。

翔子「礼子自分で書かないの?」

礼子「だって鮎美の方が出来がいいんだもん。

 (鮎美に)ねー」

鮎美「ふふ」

   翔子と智子、黙って顔を見合わせる。

礼子「あ、そうだ。お礼にコレもらって。私ち

 ょっと色が合わなくて」

   礼子、キッズコスメのリップを差し出す。

鮎美「ありがとう」

   鮎美、笑顔で受け取ろうと手を伸ばす。

   ブレスレットが光る。

   礼子、鮎美の手を掴む。

礼子「わぁ!何このブレスレット!素敵ね」

鮎美「あ、うん。いいでしょ」

礼子「どうしたのこれ?」

鮎美「俊一くんからもらったの」

   礼子、まじまじとブレスレットを見る。

翔子「いいねー、カラフルでキラキラしてて」

智子「うん。鮎美に良く似合ってる」

翔子「ね。さすが本堂くん。彼女に似合う物が

 何かわかってる」

鮎美「もう、翔子ってば」

礼子「ねえ鮎美、これくれない?」

鮎美「えっ」

   鮎美、翔子、智子の顔が強張る。

礼子「ねえいいでしょ?すっごく素敵だもん。

 これほしいな。ちょうだい?」

翔子「ちょ、ちょっと何言ってるの礼子」

智子「そうだよ。コレ鮎美の彼氏がくれたもの

 だって」

礼子「だったらまたもらえばいいでしょ?ねえ

 お願い鮎美!」

翔子「鮎美、あげなくていいよ」

智子「そうよ。礼子いい加減にしな」

   鮎美、ブレスレットを外して礼子に差し

   出す。

鮎美「どうぞ」

翔子・智子「鮎美!」

礼子「きゃーありがとう!鮎美大好き!」

   礼子、ブレスレットを腕に着け満足そう

   に微笑む。

礼子「あ、そろそろ講義行かなきゃ。じゃあね、

 また後で!」

   礼子、笑顔で立ち去っていく。

   翔子と智子、鮎美を睨みつける。

翔子「なんであげちゃうの!」

智子「そうだよ、どう考えてもおかしいでしょ」

鮎美「いいの、あれぐらい」

翔子「あれくらいって…」

鮎美「あの子が喜んでるんだからいいでしょ?」

智子「ねえ、あなた礼子に弱みでも握られてん

 の?」

鮎美「え?やだそんなんじゃないよ」

   鮎美、ニコニコ笑っている。

   翔子と智子、納得いかない様子。

 

〇マンション・全景(夜)

 

〇同・鮎美の部屋(夜)

   鮎美、スマホでティックトックを流しな

   がらドライヤーで髪を乾かしている。

   スマホが着信。

   礼子から。

   鮎美、電話を取る。

鮎美「どうしたの?」

 

〇礼子の部屋(夜)

   真っ暗な部屋にスマホだけが光っている。

   礼子、ベッドの上でうずくまり電話を耳

   に当てている。

礼子「鮎美…私…私…」

   玲子の声が震える。

 

〇マンション・鮎美の部屋(夜)

   鮎美のスマホから礼子の泣き声が聞こえ

   る。

鮎美「礼子、大丈夫?」

礼子の声「鮎美ぃ…私もうダメ…お母さんの声

 が聞こえるの。すぐそこまで来てるの。また

 殴られる。閉じ込められちゃうよ」

鮎美「大丈夫、誰もいないよ、大丈夫」

礼子の声「でも、でも…!」

   礼子の泣き声が激しくなる。

礼子の声「鮎美ぃ!寂しいよ、怖いよ、鮎美ぃ」

鮎美「わかった、今行くから。すぐ行くから待

 っててね」

   鮎美、スマホとハンドバッグを持って部

   屋を出る。

 

〇同・玄関(夜)

   鮎美、慌ただしく靴を履く。

 リビングから鮎美の母(52)が顔を出す。

鮎美の母「あんたこんな時間にどこいくの?」

鮎美「礼子のとこ。なんか不安定みたい」

鮎美の母「あら…またなの。大丈夫?」

鮎美「うん、多分私が行けば落ち着くと思うし」

鮎美の母「気を付けてね」

   鮎美、笑顔でうなずき出ていく。

 

〇礼子の部屋(夜)

   礼子、鮎美の膝にすがりついて泣く。

   鮎美、礼子の頭を優しく撫でる。

鮎美「心配しないで…私がいるよ。何も怖くな

 いよ、礼子」

   礼子、鮎美に縋り付く。ブレスレットが

   音を立てる。

 

〇花屋・正面

   エプロンを着けた鮎美が掃除している。

   起き上がりポケットからスマホを取り出

   す。

   待ち受けには鮎美と本堂俊一(22)が映っ

   ている。

   時間は9時55分。

鮎美「あと五分」

   箒を片付け、立て看板を立てる。

   ふと顔を上げる。

   何かに気付いて動きを止める。

 

〇商店街・道

   礼子と本堂が並んで歩いている、

   談笑している横顔。

 

〇花屋・正面

   鮎美、突っ立って見つめている。

 

〇商店街・道

   礼子、本堂の腕に抱き着く。

   本堂、困ったように笑いながら抵抗しな

   い。

 

〇花屋・正面

   鮎美、ジッと見つめている。

 

〇(回想)西京女子大学・カフェテリア

   笑顔の礼子。

礼子「ねえ鮎美、これちょうだい?」

礼子「ありがとう!鮎美大好き!」

礼子「いいなぁ鮎美。私も欲しいな」

礼子「え、いいの?ありがとう!」

   笑顔の礼子。ブレスレットが揺れる。

 

〇商店街・道

   礼子と本堂、手を繋いで歩いている。

   礼子の手首にブレスレット。

   笑顔の礼子と本堂。

 

〇花屋・正面

   黙って見つめている鮎美。

   花屋の店主(43)が出てくる。

花屋の店主「浜野さんもう開店時間だから…」

   鮎美、立て看板を思い切り蹴り飛ばす。

   花屋の店主、驚いて鮎美を見る。

花屋の店主「は、浜野さん?」

   鮎美、背中を向けていて表情は見えない。

鮎美「…すみません。頭痛いので早退します」

花屋の店主「え、あ、そう…」

   鮎美、店を飛び出す。

 

★自分が世話を焼いていた、無意識に下に見ていた友人に彼氏を奪われたら

 憎しみも相当だろうな…とか思いながら書きました。

 先生からは「積み重ねの構成」もいいけれど観客の想定内になりがちだというアドバイスをいただきました。

 めっちゃ納得して、代替案にも感心してたんですがそれを自分でちゃんと考え付くか!?というところに一抹の不安(笑)