おいでよシナリオの森!

夢はヒーローもののライターです☆

課題「魅力ある男」飛び込んだのは、地獄か希望か

    人 物

赤根武瑠(22)就活生

三好ルイ(5)少女

櫻井華(19)謎の女性

面接官(45)

水野しおり(22)就活生

 

 

 

 

〇公園通り

   スーツ姿の赤根武瑠(22)が歩いている

赤根「はぁ…今日の面接も手応えナシか」

 

〇(回想)面接会場内

   赤根と水野しおり(22)が座っている。

   その向かいに面接官(45)が険しい顔で座

   っている。

面接官「それではあなたの志望動機を教えてく

 ださい」

しおり「私は留学で培った語学力やコミュニケ

 ーション能力を活かして御社の製品の存在を

 広め、御社に貢献したいと考えています」

   しおり、自信満々な表情。

   隣の赤根、不安そうにしおりを見る。

面接官「はい。では次の人」

赤根「は、はい。私は御社の理念に深く共感し、

 自分の持てる力を精一杯活かせると思い…」

面接官「わかりました、もう結構です」

   面接官、書類に何か書き込む。

面接官「あなたたちと同じ台詞を、先程他の就

 活生からも聞きました」

   赤根たち、顔を見合わせる。

面接官「もっと自分で考えて、自分の言葉で回

 答するようにしなさい。君たちはマニュアル

 を読んでいるだけですね」

   面接官、ペンを転がす。

 

〇(もとの)公園通り

   赤根、足元の小石を蹴り飛ばす。

赤根「自分の言葉ってなんだよぉ。そんなのあ

 るわけないじゃん、本当にやりたいわけでも

 ないのにさぁ」

   赤根のスマホのアラームが鳴る。

赤根「ヤバイ、次の会場行かなきゃ」

   赤根、走り出す。

 

〇繁華街

   ビルのあちこちから煙が上がっている。

   道路や壁が崩れて倒れている。

   モンスターが歩いてきて口からビームを

   吐く。

   ビルにビームが当たって壁が崩れる。

   モンスターの咆哮。

   赤根が歩いてくる。

   周囲を見回して茫然。

赤根「なんだよこれ…」

   近くのコンクリートの破片の山が崩れる。

   振り返ると三好ルイ(5)がうずくまって

   いる。

   ルイの頬を子犬が舐めている。

   赤根、驚いて駆け寄る。

   そっとルイを抱き上げる。

赤根「きみ、大丈夫?ケガはない?」

   ルイ、小さくうなずいて赤根を見る。

赤根「一体、何があったんだ?」

ルイ「わかんない」

   子犬が元気に鳴いて赤根とルイの周りを

   まわっている。

   赤根、子犬を撫でる。

赤根「よし。よくわかんないけどとにかくここ

 は危なそうだ。とにかく逃げよう。歩ける?」

   ルイ、うなずく。

赤根「俺は赤根武瑠。君は?」

ルイ「ルイ」

赤根「ルイちゃんか。よろしく」

   赤根、手を差し出す。

   ルイ、その手を握り返す。

   赤根、微笑むと子犬を抱いたままルイの

   手を引き歩き出す。

   突然、子犬が赤根の背後に向かって吠え

   だす。

ルイ「チロちゃん?」

赤根「どうした急に?」

ルイ「後ろがどうかしたの?」

   赤根とルイの背後にモンスターが立って

   いる。

   モンスターが吼える。

   赤根とルイ、驚いて振り返る。

   モンスターが手を振り下ろす。

   赤根、咄嗟に転がって避ける。

   ルイ、ギリギリで助かる。

   起き上がった赤根、ルイを振り返る。

赤根「ルイちゃん!」

   モンスターの目がルイを見ている。

   ルイ、恐怖で動けない。

   モンスターが吼えて手を振り上げる。

   赤根、モンスターに飛びかかって体当た

   りする。

   モンスター、よろけて態勢を崩す。

   赤根、その隙にルイの前に立つ。

ルイ「お兄ちゃん」

赤根「大丈夫か」

   モンスター、態勢を直して赤根たちを見

   る。

   大きく口を開く。

   口の奥が光る。

   赤根、ルイを自分の後ろに隠す。

赤根「ルイちゃんは逃げて」

ルイ「で、でも」

赤根「あいつは俺が引き付けるから、早く!」

   子犬がルイのスカートの裾を引っ張る。

   ルイ、子犬と赤根を見る。

赤根「大丈夫、絶対俺も行くから」

   ルイ、子犬を抱き上げて走り出す。

   モンスター、ルイを見る。

   赤根、モンスターに向かって石を投げる。

赤根「おい、俺はこっちにいるぞ!」

   モンスターが赤根を振り返る。

   赤根、転がっている枝を拾い上げる。

   モンスターがゆっくりと歩いてくる。

赤根「よし、こっちだ…」

   赤根、震える手で枝を構える。

   横目でルイを見る。

   ルイの背中が小さくなっている。

   赤根、微笑む。

   モンスターが吼える。

赤根「うりゃあっ」

   赤根、枝を振り上げモンスターに飛びか

   かる。

   枝がモンスターに当たり折れる。

   モンスター、赤根を弾き飛ばす。

赤根「うわっ」

   地面に転がる赤根。

   モンスターが近付く。

   赤根、モンスターを見上げる。

赤根「はは…短い人生だったなぁ」

   モンスターが吼える。

   赤根、ギュッと目を瞑る。

   何かが弾ける大きな音がする。

   赤根、恐る恐る目を開ける。

   赤根の前に剣を構えた櫻井華(19)が立っ

   ている。

赤根「え?」

   モンスターが血を流して痛がっている。

   華、モンスターを睨みつけたまま。

華「大丈夫?」

赤根「あ、はい」

華「じゃあ早く逃げなさい」

赤根「え、でも君は」

華「私のことはいいから、早く逃げなさい」

   赤根、華の背中を見つめる。

   華、振り返る。

華「早く!死にたいの?」

   赤根、地面の大きい石を両手に持つと華

   の隣に立つ。

赤根「死にたくない。死にたくないけど、女の

 子を残して逃げたくもない」

   華、赤根を見る。

   赤根の手足は震えている。

   華、くすっと笑う。

華「怖いんじゃない」

赤根「う、うるさい」

   モンスターが大きく吼えて赤根と華の方

   を見る。

   華、モンスターを振り返る。

華「あなた、これ使ってみて」

   華、ポケットから銃を出して赤根に投げ

   る。

   赤根、慌てて受け取る。

赤根「なんだこれ。銃?玩具みたい」

華「援護頼むわよ」

赤根「えっ」

   華、剣を構えてモンスターに切りかかる。

   モンスター、両手を振り回して応戦する。

   赤根、慌てて銃を構える。

赤根「え、でもこれ間違ったらあの子に当たっ

 ちゃうんじゃ」

   赤根、華とモンスターを見る。

   激しく戦っている両者。

   赤根、深呼吸して銃を構え直す。

   真剣な表情でモンスターを見据える。

   モンスターが腕を振り上げ、華が咄嗟に

   避ける。

赤根「いまだ!」

   赤根、トリガーを引く。

   銃口から激しい光が出てモンスターに命

   中する。

   赤根、しりもちをつく。

   モンスター、断末魔の悲鳴。

   華、驚いてモンスターを見ている。

   赤根、起き上がってモンスターを見る。

   モンスターの全身が炎に包まれて倒れる。

   強く発光し、モンスターが消える。

赤根「今の、俺がやっつけた…?」

   華、赤根を見る。

赤根「この銃すごいな、一発じゃん。なんで最

 初にコレ撃たなかったんだよ?」

   赤根、華に銃を差し出す。

赤根「はい」

   華、受け取らず黙っている。

   赤根、不思議そうに華を見る。

赤根「ねぇ、これ」

華「あなたにあげる」

赤根「え、でも」

華「その銃があなたを選んだから」

赤根「選んだって、どういう」

華「行くわよ」

赤根「え、ちょっとどこに行くの、ねえ!」

   華、赤根の腕を掴んで歩き出す。

 

※TapNpvelにて連載中の「華学戦隊サイエンジャー」冒頭をリメイクしてみました。

気弱な就活生、だけど女の子は守ってみせる!

みたいなギャップ狙いでした。

まだちょっとギャップの描写としては弱めだったそうです。

うーむ、難しい。